ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)感染症とは?
ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)は、胃酸によって強い酸性となる胃の中でも生きていくことのできる細菌です。胃の中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、そのうちのアンモニアで自身のまわりの酸を中和しています。ピロリ菌の感染を放っておくと、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因になることがあります。ピロリ菌検査を受けたことのない方はピロリ菌検査を、また必要に応じて除菌治療を受けることをおすすめします。
ピロリ菌感染症の症状
ピロリ菌に感染しただけでは、通常症状が現れることはありません。
しかし、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどになることで、以下のような症状が見られることがあります。
・胃痛
・胃もたれ
・食欲低下、体重減少
・貧血
・タール便 など
ピロリ菌検査の方法
血液検査(血中抗体測定)
血中のピロリ菌に対する抗体を調べます。
除菌判定(除菌治療の成否を判定する検査)には利用できません。
尿素呼気テスト
まず、呼気を採取します。その後ピロリ菌と反応するお薬(ユービット錠)を1錠飲み、20分待ちます。
再度呼気を採取して、内服前後の呼気を検査器にかけ、診断します。
簡便でありながら信頼性の高い検査です。
尿検査(尿中抗体測定)
尿を採取し、尿中のピロリ菌に対する抗体を調べます。
除菌判定には利用できません。
胃カメラ内視鏡検査(迅速ウレアーゼ試験)
胃粘膜を胃カメラで採取し、ウレアーゼの活性を利用してピロリ菌を調べる検査です。
ウレアーゼによって尿素から酸性されたアンモニアへの反応を観察します。
ピロリ菌の治療方法
ピロリ菌感染症の治療では、お薬の内服による除菌を行います。
一次除菌
プロトンポンプ阻害薬と2種類の抗生剤を1日2回、1週間内服します。
内服終了から1ヵ月後に除菌判定を行い、除菌が確認できれば治療は終了です。
成功率は80~90%です。
二次除菌
一次除菌の除菌判定で除菌に失敗した場合は、二次除菌を行います。
使用する薬の組み合わせを変更し、再度1週間内服します。
内服終了から1ヵ月後に除菌判定を行い、除菌が確認できれば治療は終了です。
成功率は約90%です。ほとんどの方が、二次除菌までで治療を終了できます。
二次除菌に失敗した場合には、薬の組み合わせを変更して、三次除菌を行います。
ピロリ菌の除菌治療は
保険適用?
胃カメラ検査において、慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍のいずれかの確定診断がなされ、ピロリ菌検査で陽性であった場合には、除菌治療に健康保険が適用されます。また、胃MALTリンパ腫の方、特発性血小板減少性紫斑病の方、早期胃がんに対する内視鏡的治療後の方の除菌治療にも同様に、健康保険が適用されます。
ただし、3次除菌以降については、現在のところ自費診療扱いとなります。予めご了承ください。